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監修:⼟器屋 卓志 先⽣
(⽇本放射線腫瘍学会 名誉会員)

がん放射線治療について

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Radiation
Oncology

放射線治療とは

放射線治療は、手術、薬物療法(抗がん剤治療)と並ぶがんの3大治療法の1つです。放射線治療のみ、または、薬物療法や手術などと併用されて治療が進められます。

放射線治療と薬物療法との併用(化学放射線療法)はがんが大きく放射線治療のみでは治りきるのが難しい場合や、転移を予防する効果を求めたいときなどに検討されます。また、放射線治療と手術との併用は、がんが大きい場合、正常の機能をできるだけ損ないたくない場合、術後の残存腫瘍を根絶したい場合などで検討されます。放射線治療では手術と異なり臓器を取らずに治すことが可能で、からだへの負担が手術より少ないことがほとんどです。

また、多くの放射線治療は外来通院での治療が可能です。お仕事を続けられながら治療を受けられる患者さんが多くいらっしゃいます。

History

がん放射線治療の歴史

世界初の放射線治療は1800年代末に開始したと言われ、当時、皮膚がん、乳がん、舌がんへの治療が実施されたとの記録が残っています。その後、放射線源として、1900年代前半はラジウム、1950年代以降にはコバルト60を用いて治療が開始されました。

日本では1952年に治療装置が輸入され、放射線治療が開始されました。1972年にコンピュータ断層撮影(CT)が放射線治療計画を作成するために開発され、放射線治療の精度は飛躍的に向上しました。CTの導入とコンピュータ技術の進歩により、呼吸による肺や肝臓の動きに対応した治療が可能となりました。また、装置の開発としては、高エネルギーのエックス線を発生させる装置(直線加速器)が進化し、照射する形状や放射線の強度を自在に操ることができるようになりました。がん組織には高い放射線量を与え、同時に隣接する正常組織には放射線量を低く抑えることが可能となり、1990年代から強度変調放射線治療として臨床応用されてきました。

Side Effect

放射線治療の安全性

放射線治療による副作用は早期(治療中と治療直後)と晩期(治療後の後遺症)に分けて考えます。

最近の放射線治療では、これらの副作用のリスクは以前に比べると相当に少なくなってきました。

早期における副作用の多くは、軽度で一時的なものですが、照射の部位によっては苦痛となることがあります。例えば、口腔、食道、気管に照射した場合、それぞれの粘膜炎のために疼痛・咳・嚥下障害などがでてきますが、適切な治療で軽快してきます。

腹部・骨盤照射の場合は、いろいろな程度の下痢が生じることがあり、または、排尿痛がでてくることがあります。これらの症状は、急に出現するものではなく、照射の回数が増えるにつれて少しずつ出てきますので、その都度、医療スタッフの方にご相談ください。

晩期に生じる副作用の頻度はとても少ないですが、治療後、年月を経てから生じるものであり、放射線治療の内容や、その他の要因により、リスクの頻度が異なってきます。

治療前の医師からの「説明と同意」を良く理解していただくことが重要です。